小説の世界では仮想通貨が活躍している
最終更新: 2019年11月19日

VR技術を題材にした岡嶋二人の『クラインの壺』や、SNSやスマホが物語の軸になる志賀晃の『スマホを落としただけなのに』など、話題の最新技術が小説に登場することはよくあります。
近年では、仮想通貨やブロックチェーン技術などが注目を集めていますが、こうした最新のキーワードも例外ではありません。
芥川賞の小説に仮想通貨が登場
日本で有名な文学賞といえば、「芥川賞」と「直木賞」が思い浮かぶという方も多いのではないでしょうか。このうち優れた純文学作品におくられる「芥川賞」の2018年下半期の受賞作品には、なんと仮想通貨が登場します。
第160回芥川賞受賞作『ニムロッド』
第160回芥川賞(2018年下半期)の受賞作は、上田岳弘の『ニムロッド』と町屋良平の『1R1分34秒』でした。仮想通貨が登場するのは前者の『ニムロッド』という作品です。
作者の上田岳弘は、法人向けソリューションメーカーの立ち上げに参加し、その会社の役員という顔も持っています。小説家としては、2013年に『太陽』でデビューしました。以降、2度芥川賞の候補となり、今回3度目で受賞となりました。
受賞作『ニムロッド』の主人公の中本哲史はシステムエンジニア(SE)として働いています。そして、彼の業務は新規事業として始まったビットコインのマイニング作業です。
上田は小説と仮想通貨の共通項を、「それが存在するよ、と皆が言うことによって価値があるとされているのが仮想通貨。小説も本体は文字しかない。書いてあるだけなのに世の中に影響を与えるという点では似ている」[i]と語っています。
[i] https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190116-00010003-wordleaf-soci
小説にもなる仮想通貨の関心

仮想通貨という新しい技術には、小説家が作品に使いたくなり、読者が読んでみたいと思うだけの強い関心が寄せられているようですね。このことは仮想通貨が世の中に強く浸透していることの証拠でもあります。
また世間から注目される芥川賞受賞作品に登場することで、仮想通貨の認知はより一層進むことになるでしょう。
海外国内の有名小説には仮想通貨が出てきている
仮想通貨を題材にした小説は、上田岳弘の『ニムロッド』だけではありません。
次のような作品があるので興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
・池井戸潤『架空通貨』
・藤井太洋『アンダーグラウンド・マーケット』
・MonAmie『H -アッシュ- 仮想通貨BLOODとAIになった歌姫』
人々の仮想通貨の理解度は深まっている
少し前までほとんどの人が存在すら知らなかった仮想通貨ですが、最近では知名度が大きく上がりました。ビットコインの高騰などもあって、ビットコインやイーサリアム、リップルなど代表的な仮想通貨の名前を知っている人も増えています。
また、仮想通貨やブロックチェーン技術を解説する書籍も多く出版され、その仕組みを理解している人の数も増加しています。実際に、仮想通貨投資を行っている人も決して少なくありません。
『ニムロッド』という作品が生まれたのも、人々の仮想通貨への理解度が深まったからこそという側面もあるのではないでしょうか。
未来には本当に仮想通貨が重要な役割を果たすのではないか

インターネットやスマートフォンなど、様々な技術が私たちの生活を変えてきました。仮想通貨もこれらと同じく、今後どういった役割を果たすのか注目を集めています。
私たちの暮らしや社会の仕組みすら変えてしまうような大きな変化をもたらすのでしょうか。それとも、一過性の「仮想通貨ブーム」にとどまってしまうのでしょうか。
仮想通貨は一時的なブームで終わるのか
ビットコインの高騰が盛んに報道されて以降、仮想通貨への注目は高まり、社会に広く認知されるようになりました。しかし、ニュージーランドの仮想通貨交換所のハッキング騒動のような不安材料もあります。
小説のテーマになるほどの認知度を得た仮想通貨ですが、技術面の更なる発展や法整備などが進まないと、一時的なブームで終わってしまう可能性もゼロではないのかもしれません。
仮想通貨の今後の可能性
ビットコインやイーサリアムをはじめとした仮想通貨はどんどん増え続け、今では数千種類を超えています。また、仮想通貨を利用する決済の仕組みも土台が出来つつありますし、仮想通貨を支えるブロックチェーン技術の研究も多くの国や企業が進めています。
こうした現状から、先ほど述べたように一時的なブームで終わる可能性は低く、仮想通貨はこれからますます発展していく可能性が高いと考えられています。
まとめ
第160回芥川賞受賞作品の『ニムロッド』は、仮想通貨がテーマとなっています。仮想通貨の世間での知名度は上がり、理解もより深いものとなってきています。そのため、今後も仮想通貨が登場する小説は増えてくるかもしれません。
また、現実世界でも仮想通貨の存在感は増してきています。発行されている仮想通貨の数は数千種類を超え、ビットコインなどを用いた決済システムも誕生しています。今後仮想通貨は、私たちの生活を変えるほどの大きな発展をみせてくれるかもしれません。